バリュー投資アカデミー バフェトは年に1回手紙を送っているのは有名な話
米著名投資家、バリュー投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏が経営するバークシャー・ハザウェイの株主あてに年に1回手紙を送っているのは有名な話です。
毎回「投資とは何か?」
についての原理原則のコメントが入っており、投資家にとっては、とても勉強になるからです。
2019.2月に発表された株主あての手紙ではどんなことが記載されていたかご存知でしょうか?
本日はその内容についてご紹介させていただきます。
キーワードとして挙げられるのは、2つ。
「米国株に投資することは追い風」
「コストの怖さ」
です。
手紙の終盤、「アメリカに投資することによる追い風」というニュアンスが記載されている。
バフェット氏は自分が株を初めて買ったのは77年前の11歳で、当時114.75ドルだった。
この114.75ドルが仮にS&P500種株価指数の連動投信に投じられてすべての配当が積み重なっていれば、2019年1月末に資産は5288倍の60万6811ドルになっていました。
脅威的な数字ですね。今からでは考えられない成長ですが。
バフェット氏は米国は過去様々な苦難を繰り超えてきたが、米国人は将来に希望を持ち、それを実現し続けてきた説明しています。
また、バフェット氏は、米国と米国株市場への絶対的な信頼をよせている投資家の1名です。
純化した「株主資本主義の国」
米国株の長期成績は、最近日本の個人投資家の間でも注目が高まり始めてはいます。
グラフで見ると過去およそ30年、米国株だけの指数(MSCI USA)の方が大きく上がっている。先進国株指数(MSCI WORLD)も上がってはいるが、
ここから米国株を除いた指数(MSCI WORLD EX USA)の成績は全くさえない。
時期にもよるが世界株の成長の多くが米国株に支えられている構図となっているのが実際であり現状も
もちろんここ数年の米国株の上昇は、IT大手の「GAFA」などへの過熱人気がもたらし「追い風参考」の面もある。
目先数年はその反動で、むしろ他の市場に劣後する可能性もある。しかし過去の米国株の歴史を見る限り、長期での力強い上昇というトレンドが失われる事態は考えづらい。
米国株の長期上昇力が強い理由として米国企業の自己資本利益率(ROE)の高さなどがあげられるが、その底流に流れているのは米国が「純化した株主資本主義」の国であることだろう。個人金融資産のうち株式と投資信託を合わせた比率は日本が15%なのに対し米国は約5割。株高こそが米国民の多くの幸せに結びつく構図がある。だからこそ企業経営者は自社株買いも繰り返しながら事業の収益力の絶え間ない強化を続け、ROEを高め続ける。
政府も米連邦準備理事会(FRB)も様々な政策判断の中に、高株価を維持することが常に視野に入っている。そんな国への投資だからこそ、長期で安心して高いリターンを期待できるということだろう。
コスト年1%なら資産半減
バフェット氏は次に「驚かないでください」と前置きしたうえでコストの話に移る。
「(先ほどの米国株への非課税での投資で)過去77年間のS&Pへの年率リターンは11.8%でしたが、もし運用会社やコンサルタントに年1%の費用を払って年10.8%でしか運用できなかったら、利益は半分に削減され、26億5000万ドルになっていたでしょう」
バフェット氏は過去の株主への手紙でも、こうしたコストの恐ろしさを繰り返し注意喚起してきた。そして自らは集中投資の手法をとりながらも、「普通の人はS&P500に連動する低コストのインデックス(指数連動)型投信でもいい」という指摘を繰り返している。
コストの重要性は、売れ筋投信の多くが高コストのアクティブ型である日本の投資家こそ知るべき。
今や世界全体に投資するインデックス投信で、保有コスト(信託報酬)が年0.2%程度のインデックス投信が数多く出ている。仮に1990年に100万円投資して、成績が日本をのぞく世界株投信と同じだった場合、年0.2%のコストで投資するのと、アクティブ型の平均的な1.7%で投資するのとでは、資産が270万円も違っていたことになる。
もちろんアクティブ型の運用成績そのものが好調ならコスト差などを取り戻せる。しかし実際にそれは難しく、米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの調べによると、18年末までの15年間でみて米国株アクティブ型投信の9割の成績が市場平均を下回っている。
もう一つの「もしバフェ」投資
従来、投資家が「もしバフェットだったら」と想定する「もしバフェ投資」というと、割安株を厳選して長期保有する手法だった。しかし低コストの米国株インデックス型投信を資産の一部として長期保有するのも、今回のバフェット氏の助言を生かした「もう一つのもしバフェ投資」といえるかもしれない。
ちなみにバフェット氏が自分の妻への遺言で「遺産の9割はS&P500に連動するインデックス型投信で」と書いているのは有名な話だ。