四半期開示 トランプ氏検討指示「貴重な情報」「近視眼的」(東京読売新聞) バリュー投資アカデミー
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四半期開示 トランプ氏検討指示「貴重な情報」「近視眼的」
今週、東京読売新聞にトランプ氏が業績情報開示のタイミングについて見直しの指示を出したと記載されていました。
株主に対して適切なタイミングで適切な情報を開示し、透明性ある情報開示を目的に4半期決算が義務付けられ、既に日本でも浸透しているのですが、今後時代の逆をいく内容ですがどうなるか注目です。
メリットとしては、
①(四半期開示の見直しは企業の)柔軟性や経費削減につながる
② 長期的な観点での投資が増える
金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)と米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿、「四半期ごとの業績予想が短期的な利益の追求につながり、長期的な経営戦略や成長が犠牲になる」と訴えています。
デメリットとしては、以下の点が指摘されています。
①企業の活動が国境を超えて複雑とないr、ITの進展で業績がめまぐるしく変化するなか、四半期開示は、投資家の重要な判断材料となっている。
②利益や売り上げのそれぞれの会社の癖や特徴が、四半期開示でつかみやすい
一方で、企業からは、批判の声が根強く、集計作業の負担だけでなく、短期の売り上げや利益ばかりに着目され、企業の実力から離れた評価をされかねないとの懸念を指摘しています。
例えば、ゼネコン業界では「工事が進む年度後半に売り上げなどの計上が集中する特徴がありますが、四半期の決算開示では十分に実態が反映されない」と主張しています。
発電所などメーカーは、「長期の受注は企業の実力がわかりづらい。投資家が短期の業績変動で一喜一憂しないように見直されるといい」と期待を寄せています。
ちなみに、日本もこの動きには注目しており、世界最大の資本市場がある米国での議論の行方は、各国の市場にも大きく影響を与えることになるでしょう。
日本政府も2017年の未来投資戦略で、投資家が近視眼的になっている背景として、四半期開示の存在を指摘しており、金融庁がとりまとめた報告書では、四半期開示を維持を決めたが、「国内の開示充実につながるのであれば、再検討」となっています。
上場企業に四半期開示を求めている東京証券取引所も「米国の状況に影響を受けることはあり得る。引き続き状況を注視していきたい」としています。
◆西村あさひ法律事務所 太田弁護士先生
「四半期ごとに業績や業績見通しの開示を強制することが、経営の短期目線を招いているという問題意識は正当。
近年、短期的な利益を求める投資家からのプレッシャーが行き過ぎている。経営の今後の方向性など、財務情報以外の情報を充実させることで、投資家の要請には応えられるのではないか。米国は最大の資本市場を抱えており、議論を踏まえて、日本も対応していくことが必要」
◆大和総研の吉井調査担当部長
「業績計画の進捗状況を確認することや、会社の経営状況の転換点をできるだけ早く知るという意味で、四半期開示の有用性はある。四半期ごとに経営状況も変わる企業もあるし、長期契約が多い企業でも、為替や原材料コストの変化による採算悪化や納期の遅れなどで短期的に業績が動くことはある。欧州では、義務づけをやめる動きもあるが、主要企業にとって、四半期の業績開示は不可欠だ」
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