バリュー投資アカデミー:高ROE経営の落とし穴とは?
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2018/06/24 日経ヴェリタス では、
「3月期決算上場企業の自己資本利益率(ROE)が2018年3月期に10.25%とようやく10%の大台を超えた。06年3月期の9.43%を上回り、1981年3月期の12.3%以来37年ぶりの高水準。米国企業の約14%には届かないが、欧州企業とはほぼ同水準になり、「ROE最貧国」と酷評された状況は脱しつつある。」
と報じております。
歴史的に日本は、世界水準の半分以下の低ROE国
でした。では、どうして改善したと思いますか?
それは、主に以下の2つの理由と言われています。
① 不採算事業や非コア事業の縮小・撤退
② ROEを経営目標に設定することの浸透(コーポレートガバナンス改革)
機関投資家はROEが低い企業の取締役選任議案に反対票を投じるようになっています。
三井住友信託銀行の調査では上場企業の37%が経営目標としてROEを掲げており、6月に改定された企業統治指針では上場企業は資本コストを把握し、中長期的にこれを上回る経営をするように求めています。
ただ、米国並みの14%に高めるためには、以下のような対策が必要です。
①売上高純利益率を向上させる
②増配や自社株買いを進めて分母の自己資本を減らす
ちなみに、米国の主要500社は17年に配当と自社株買いを合わせて9400億ドル(104兆円)の株主還元を実施しており、日本の全上場企業の6倍と、まだまだ、株主に報いる姿勢は道半ばなのかもしれません。
ただ、実は、高ROE経営にはひずみがあります。
米IBMは毎年、増配と自社株買いに取り組んでおり、過去5年間の平均ROEは75.9%にも達している。
しかし、株価は5年間で32%も下落した。
著名投資家のウォーレン・バフェット氏も投資に失敗し、撤退した。
高ROEを追求すると、株主還元を優先した縮小均衡の経営になりやすく、平均10%に乗せたぐらいで心配するのは早いかもしれないですが、落とし穴には十分な注意が必要だと思います。
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